野球選手は加齢とともにどのようなパフォーマンスを辿る?
野球選手にとって年齢の影響は重要だ。例えば同じ成績の選手でも若い選手か、ベテランかによってその後の価値は大きく異る。
今回は打者の年齢の影響について見ていく。
算出対象
1980-2021のNPBの野手(NPB STATSでメイン守備位置が投手になっている選手以外)を算出対象とする。
データはNPB STATSのものを使用する。[1]
出場機会
1980-2021 NPB 打席数
出場機会のピークは28ー30歳に集中している。この辺りの年齢が野球選手の働き盛りと言えそうだ。
パフォーマンスが年齢に与える影響を測る
算出方法
K%(三振率)
1980-2021 NPB K%
K%は若い内から急激に低下していき、26ー28歳でピークを迎える。そして29歳を過ぎてから再び上昇していく。
BB%(四球率)
1980-2021 NPB BB%
BB%は若い頃から急激に上昇していき、32歳でピークを迎える。
その後は緩やかに低下していく。
四球獲得は歳を重ねても改善され続けやすい要素のようだ。
ISO(長打力)
1980-2021 NPB ISO
ISOとは(長打率-打率)で計算される打者の純粋な長打力を測る指標だ。
ISOは若いうちは急激に上昇していき、24-26歳でピークを迎える。27歳を超えると急激に低下する。
長打力は伸びやすいが、早くにピークを迎え、衰えやすいようだ。
wRC+(打者の打席あたりの貢献の質)
1980-2021 NPB wRC+
wRC+は打席あたりの打者の総合的な貢献の質を表すものだ。簡単に言えばOPSをより精密にしたものと思ってもらえばいい。
wRC+のピークは26歳まで急激に上昇し、ピークを過ぎると同じくらい急激に低下していく。
まとめ
- 出場機会のピークは28-30歳となる
- K%は若いうちは急激に低下し、26-28歳でピークを迎え、その後は再び上昇していく。
- BB%は若い内から急激に上昇し、32歳でピークを迎え、その後緩やかに低下する。
- ISOは若いうちは急激に上昇し、24-26歳でピークを迎え27歳を過ぎると急激に低下する。
- wRC+は26歳まで急激に上昇し、その後は上昇したのと同じくらい低下する。
野球選手のピークは出場機会という意味では29歳前後、パフォーマンスという意味では26歳前後と言える。
この結果からするとFA選手を獲得することはそもそもリスキーと言えるかもしれない。
なぜならFA権は若いうちから順調に出場をしても取得するのは20代後半程度だ。パフォーマンスの全盛期は過ぎてしまう。
30歳を超えている選手ならなおさらだろう。
もちろん、これらの結果は平均的な結果を示しているに過ぎない。
年齢を重ねてもパフォーマンスを維持する選手もいれば、平均より衰えの早い選手もいる。
打席でのアプローチを変えれば、三振、四球、長打についても違った結果となるだろう。
とはいえ、このような分析が全く無意味とも言えない。
少なくとも平均的には参考になると言えるし、年齢曲線と異なる選手を見てその選手の異常性を確認するのにも役立つのではないか。
[1] データ出典:NPB STATS
http://npbstats.com/