2022年11月23日に投稿

出版甲子園で【行動経済学でスポーツの常識を小突く】話

要約

  • 日曜日に「行動経済学×スポーツアナリティクス」の魅力を紹介するLTをします
    • 行動経済学でスポーツの常識捉え直す例
      • 打率.299の打者は四球を選ばない
      • スタジアムの構造によってサッカーの審判の笛の吹く傾向が変化する
    • 行動経済学の道具でスポーツの意思決定を数値化する例
      • 野球監督の77%はフレーミング効果とみられる意思決定の歪みで、毎年0.5勝損している
  • うまくいくと商業出版できます。頑張ります
  • 配信もあるので、見てくれるとうれしいです!
  • spoana等、過去のLTをふんだんに盛り込んでいます。みなさまありがとうございました

===ここから記事だよ===

はじめまして、なういずスポーツと申します。大学院で認知科学(行動経済学)を学ぶ学生です。
普段は野球・サッカー・アイドルを中心に分析を行っています。

さて、11/27(日)に出版甲子園の決勝大会で、行動経済学×スポーツアナリティクスの企画について発表することになりました。
ですので今回は、イベントや企画の中身について紹介したいと思います。

出版甲子園って何?

出版甲子園は、学生のための商業出版コンペティションです。
応募資格は学生であることのみ。世に広めたいアイデアを持つ学生が集まり、出版関係者の前で企画書やプレゼンでバトルを行います。
これまで41冊の本が出版されており、今年の大会では42冊目の座をかけて、戦いの火蓋が切られています。野球ファン的には特別な数字で、運命を感じますね。

企画のURL
https://gakumado.mynavi.jp/gmd/articles/61036

私の広めたいアイデア、それは
「行動経済学の視点でスポーツアナリティクスを行うことで、スポーツの常識を捉え直し、判断の損得を数値で示すことができる」
というものです。
具体的な企画内容を紹介させてください。


どんな本なの?


本のタイトルは
行動経済学でスポーツの常識を小突く」となっています。
常識を壊すのでもなく作るのでもなく、小突くのがポイントです。
従来からの常識・知識・技術を深掘りするお手伝いをしたいと思い、「小突く」というタイトルをセレクトしました。

サブタイトルもいれると、めちゃ長い




行動経済学は心理学と経済学を混ぜ合わせたような学問で、人間の意思決定の方法について扱う分野です。
最近は、行動経済学者がノーベル賞を受賞したり、入門書がベストセラーになるなどビジネスチャンス社会的関心が高まっています。
さらに2010年ごろから、スポーツデータを扱う行動経済学の研究も増えてきました。(これらの研究をこっそり #BallgameEconomics と呼んでいます。)
そこでは、「打率.299の打者は四球を選ばない」「スタジアムの構造によってサッカーの審判の笛の吹く傾向が変化する」といった現場や観戦に有用な知見も含まれています。

行動経済学×スポーツアナリティクスは日本ではまだ有名ではないので一番先にまとめれば儲かるのでは?面白いトピックをみなさまと共有したいと思い、
出版甲子園に応募を決意しました。
また、長く愛されてほしいという思いもこめて、出版という媒体を選びました。


どんな人に読んでもらいたいかは、大きくわけて3パターンを思い浮かべています。
  • スポーツに取り組む人→競技に活かせる行動経済学の知識を知ってほしい
  • スポーツのファンの人→より深い視点からスポーツを見れるようになってほしい
  • 行動経済学を学びたい人→スポーツという分かりやすい実例から学びを深めてほしい
実用書であって、教養にもなる。数字を眺めるだけでも楽しい本を目指しています。


具体的な内容は以下の2つです。
  1. 行動経済学でスポーツの常識捉え直す
  2. 行動経済学の道具でスポーツの意思決定を数値化する
少し詳しく説明させてください。




①スポーツの常識を捉え直す

この本では、行動経済学×スポーツアナリティクス研究を24本紹介します。
インパクトがあって、明日誰かに話したくなって、そして競技にも活かせる知見を集めました。
大学院生として、研究をきちんと紹介できるようにもつとめていきます。

本記事では24のうち7個の例を紹介します。なんとなくイメージを掴んでくれるとうれしいです。
「3」は配球の参考になると思いますし、「5」で損失回避バイアスを排除するよう心がければ他のプレーヤーとの違いを作れるはずです。

  1. マラソン:市民ランナーは3時間59分でゴールする
  2. 野球:3割直前の打者は絶対に四球を選ばない
  3. 野球:審判は三振や四球を宣言することを回避したい 
  4. サッカー:勝ち点の変化はサッカーの積極性に違いを生んだ 
  5. ゴルフ:タイガー・ウッズは損失回避バイアスで損をしている
  6. サッカー:審判が出すカードの色はスタジアムの歓声に影響される 
  7. サッカー:スタジアムの形状でホームアドバンテージは変化する
このように、知識や技術を深め、常識を”小突く”読書体験を提供したいと思います。

②スポーツの意思決定を数値化する

本書の2つ目の魅力は、意思決定の歪みを分析し、結果を数値であらわすことができる点です。

例えば、4章ではフレーミング効果という認知バイアスを紹介し、
このバイアスによって「メジャーリーグの監督は盗塁の采配で、年間0.5勝損している可能性」を示します(※1)。
他にも、5章では声援による効果で「ホームチームは1試合あたりFK約1個分有利な判定をされている可能性」を示します。

行動経済学という道具をもちいて、結果を定量的に評価し、試合・観戦に役立ててもらえたらと思っています。
数学や心理学にアレルギーがある方でも、数値を追うだけで楽しめるような作りにしていきたいですね。
出版にたどり着けたら、分析に利用したコードはもちろん公開予定です。

※1
以前spoanaで発表した内容なので、手法等気になる人はこちらからどうぞ
https://www.slideshare.net/TakuImaizuminowism/ss-152668823

※2
同様にspoanaで扱った内容です。手法等気になる人はこちらからどうぞ
https://www.slideshare.net/TakuImaizuminowism/ss-189270268


目標と感謝

以上、「行動経済学でスポーツの常識を小突く」ことで、スポーツをもっと盛り上げ・もっと強くするような一助になれたらと思っています。
行動経済学で意思決定(=心)に迫ることで、新しい角度からスポーツを捉えることができる、そんな契機にしたいです。
本書を1枚でまとめるなら…



さて、ここまで自身の企画について紹介してきましたが、
この内容には、spoanaで発表してきた内容や、BallgameEconomicsのTwitterSpaceで教えてもらった情報がたくさん含まれています。
私一人ではできないものですので、関わってくれたすべてのみなさまに感謝を申し上げます。
謝辞でたくさんのお名前を書きたいので、商業出版にこぎつけられるよう、日曜はプレゼンを頑張ります。

当日はYoutube配信と視聴者投票もあるので、チェックしてもらえると、なおうれしいです。
以上、長々とお付き合いいただきありがとうございました。

閲覧申込みはこちらから
第18回出版甲子園決勝大会 観覧予約フォーム (google.com)

ユーザー情報

東大で心理学を研究しながらスポーツアナライズ。采配を代表とする意思決定の心理学。⚾️巨人・六大学 ⚽️柏レイソル・ザスパクサツ群馬 📣プリパラおじさん 日常垢:@nowism1229 質問箱:https://t.co/04PRULxpNU…

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